2008年03月03日
雪だるま
彼からはなんの表情も読み取れなかったが
わたしの話を聞いていることは確かだった
どうしよう・・・・もう40分か。
今日はもう帰そう。
わたしはそんなことを思いながら窓の外を眺め
「また雪だ。いやになっちゃう。」
と,どうでもいいことを言った。
すると彼は以外にもその言葉に反応して
「雪だるま作った。昨日。」
とつぶやいた。
わたしは彼がやっと口を開いてくれたので,嬉しくなって
「どのくらいの大きさの?」
と聞いた。
彼はやっと目を合わせて微笑んだ。
「見たい?」
彼は学校から20分ほど歩いたところにある
小さなアパートの1階に住んでいる。
外は思ったほど寒くなく,
雪もさほど気にならなかった。
2人でぶらぶら話しながら歩いた。
「先生も雪だるまよく作ったなぁ。
大きいのが作れたときにはね
お風呂用の石炭を目にしたのよ。
石炭ってわかる?」
「わかる。ばあちゃんの家にあるもん。」
「あら,そう。おばあちゃんの家はどこ?」
「夕張だよ。時々行くんだ。
ばあちゃんはね,
ぼくのことが世界で一番かわいいって言うんだ。
本当はぼくと一緒に住みたいんだって。
一生懸命勉強してお医者さんになれって
いつもそうやって言ってる。
それでね,死んだ父ちゃんみたいに
病気で苦しんでいる人を助けたら?っていうのさ。」
「そう・・・・・・・・じゃぁお医者さんになるの?」
「たぶんね。」
彼はそれから少し黙って下を見ながら歩いた。
「でもさ,もう父さんは死んじゃったから
医者になったら,まず母さんの病気を治す。」
母さんの病気?
わたしは耳を疑った。
先月の参観日には元気に学校へ来ていたはずだ。
ちょっと迷ったけれど
やっぱり聞かずにはいられなかった。
「お母さんどこか悪いの?」
彼は少し歩く速度を落とし
わたしの目をしっかりと見てこう言った。
「こころ。」
彼の家に着くと
アパートの横に大きな大きな雪だるまがあって
その雪だるまの足元には
小さな雪だるまが5つ並べて置かれていた。
「この大きなのが父さんで
小さいのが母さんとぼくと弟と妹と
その下の弟なんだ。」
わたしはなんだかとても切なくなって
今日はお母さんに
ケンカの話をするのはやめようと思った。
彼に雪だるまのことをとても上手だと褒め,
「見せてくれてありがとう。また明日ね。」
と言って,もと来た道を100mほど引き返した時,
「ありがとうございましたぁ。」
と聞き覚えのある声が後ろから聞こえてきた。
振り返ると,彼の母親が小さい弟たちを連れて
手を振りながら頭を下げていた。
遠くからだったけれど,
随分と痩せた感じがした。
大きな大きな雪だるまは
自分の隣に並んだ小さな小さな家族のことを
愛しそうに見つめている気がした。
わたしの話を聞いていることは確かだった
どうしよう・・・・もう40分か。
今日はもう帰そう。
わたしはそんなことを思いながら窓の外を眺め
「また雪だ。いやになっちゃう。」
と,どうでもいいことを言った。
すると彼は以外にもその言葉に反応して
「雪だるま作った。昨日。」
とつぶやいた。
わたしは彼がやっと口を開いてくれたので,嬉しくなって
「どのくらいの大きさの?」
と聞いた。
彼はやっと目を合わせて微笑んだ。
「見たい?」
彼は学校から20分ほど歩いたところにある
小さなアパートの1階に住んでいる。
外は思ったほど寒くなく,
雪もさほど気にならなかった。
2人でぶらぶら話しながら歩いた。
「先生も雪だるまよく作ったなぁ。
大きいのが作れたときにはね
お風呂用の石炭を目にしたのよ。
石炭ってわかる?」
「わかる。ばあちゃんの家にあるもん。」
「あら,そう。おばあちゃんの家はどこ?」
「夕張だよ。時々行くんだ。
ばあちゃんはね,
ぼくのことが世界で一番かわいいって言うんだ。
本当はぼくと一緒に住みたいんだって。
一生懸命勉強してお医者さんになれって
いつもそうやって言ってる。
それでね,死んだ父ちゃんみたいに
病気で苦しんでいる人を助けたら?っていうのさ。」
「そう・・・・・・・・じゃぁお医者さんになるの?」
「たぶんね。」
彼はそれから少し黙って下を見ながら歩いた。
「でもさ,もう父さんは死んじゃったから
医者になったら,まず母さんの病気を治す。」
母さんの病気?
わたしは耳を疑った。
先月の参観日には元気に学校へ来ていたはずだ。
ちょっと迷ったけれど
やっぱり聞かずにはいられなかった。
「お母さんどこか悪いの?」
彼は少し歩く速度を落とし
わたしの目をしっかりと見てこう言った。
「こころ。」
彼の家に着くと
アパートの横に大きな大きな雪だるまがあって
その雪だるまの足元には
小さな雪だるまが5つ並べて置かれていた。
「この大きなのが父さんで
小さいのが母さんとぼくと弟と妹と
その下の弟なんだ。」
わたしはなんだかとても切なくなって
今日はお母さんに
ケンカの話をするのはやめようと思った。
彼に雪だるまのことをとても上手だと褒め,
「見せてくれてありがとう。また明日ね。」
と言って,もと来た道を100mほど引き返した時,
「ありがとうございましたぁ。」
と聞き覚えのある声が後ろから聞こえてきた。
振り返ると,彼の母親が小さい弟たちを連れて
手を振りながら頭を下げていた。
遠くからだったけれど,
随分と痩せた感じがした。
大きな大きな雪だるまは
自分の隣に並んだ小さな小さな家族のことを
愛しそうに見つめている気がした。
Posted by 〜秋〜 at 21:03│Comments(0)
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