2007年09月10日
涙き続ける彼女と死ねないぼく

その日,彼女は
びっくりするくらい長い時間泣き続けた。
この小さな身体の
一体どこからこんなに涙が出てくるのだろう。
彼女は泣きつかれると
少しだけため息をついてボーッと遠くを見つめた。
それからまた
ふと思い出したように泣き始めた。
あまりにも長い時間泣いていたので
一番最初に泣きたくなった原因なんて
もうすでにわからなくなってしまっている様子だった。
まるで
今まで生きてきた悲しいこと全てを
一つ一つ思い出して泣いているように見えた。
午前三時を少し過ぎたころ
彼女がやっと発した言葉は
「みず。」
だった。
ぼくは慌てて立ち上がり
台所の隅に積んであった食器から
一番小さなグラスをとって水を入れた。
彼女はそれをコクンと音を立てて一口飲み
「ごめんね。」と言った。
「時々これくらい泣かないとだめなのよ。」
ぼくはまた彼女が泣き始めてしまわないように
慎重に言葉を選んで尋ねた。
「ぼくにできることはないかな。」
彼女はややしばらく黙っていた。
とても長い時間が過ぎたような気がした。
「わたしを愛してる?」
ぼくは一瞬息ができなくなった。
「愛しているよ。」
「死ぬほど?」
今度の質問にはさすがに戸惑ってしまった。
簡単に「うん。」なんて言ったら
「じゃあ,死んで見せてよ。」と言われそうだったからだ。
彼女のことは愛していたけれど,
死ぬほどではなかったのかもしれない。
死ぬほど愛するなんて,ぼくにはわからない。
「ねぇ,わたしが今必要としているのは,
わたしのために死ねる人なのよ。わかる?」
「わかる気もする。」
「でもあなたはわたしのために死ねない。」
「うん。悪いけど…。」
「いいのよ。そんなに簡単に死ねる人なんていないわ。」
「うん。なかなかいないだろうね。」
「わたしだって,あなたのために死ねないもの。」
「いいよ。死ななくて。」
「わたしが泣き続ける理由はね,
わたしのためになら死ねるほど
誰かに愛されたいってことなの。」
ぼくはその言葉を聞いて,
ちょっと違うな,と思った。
この世の中には
死ぬほど愛されたい人ばかりで溢れている。
死ぬほど愛されたくて泣き続けている人ばかりなんだよ。
ぼくはそれをわかっているから
泣かずにいられるんだよ。
ぼくは誰のためにも死なないよ。
びっくりするくらい長い時間泣き続けた。
この小さな身体の
一体どこからこんなに涙が出てくるのだろう。
彼女は泣きつかれると
少しだけため息をついてボーッと遠くを見つめた。
それからまた
ふと思い出したように泣き始めた。
あまりにも長い時間泣いていたので
一番最初に泣きたくなった原因なんて
もうすでにわからなくなってしまっている様子だった。
まるで
今まで生きてきた悲しいこと全てを
一つ一つ思い出して泣いているように見えた。
午前三時を少し過ぎたころ
彼女がやっと発した言葉は
「みず。」
だった。
ぼくは慌てて立ち上がり
台所の隅に積んであった食器から
一番小さなグラスをとって水を入れた。
彼女はそれをコクンと音を立てて一口飲み
「ごめんね。」と言った。
「時々これくらい泣かないとだめなのよ。」
ぼくはまた彼女が泣き始めてしまわないように
慎重に言葉を選んで尋ねた。
「ぼくにできることはないかな。」
彼女はややしばらく黙っていた。
とても長い時間が過ぎたような気がした。
「わたしを愛してる?」
ぼくは一瞬息ができなくなった。
「愛しているよ。」
「死ぬほど?」
今度の質問にはさすがに戸惑ってしまった。
簡単に「うん。」なんて言ったら
「じゃあ,死んで見せてよ。」と言われそうだったからだ。
彼女のことは愛していたけれど,
死ぬほどではなかったのかもしれない。
死ぬほど愛するなんて,ぼくにはわからない。
「ねぇ,わたしが今必要としているのは,
わたしのために死ねる人なのよ。わかる?」
「わかる気もする。」
「でもあなたはわたしのために死ねない。」
「うん。悪いけど…。」
「いいのよ。そんなに簡単に死ねる人なんていないわ。」
「うん。なかなかいないだろうね。」
「わたしだって,あなたのために死ねないもの。」
「いいよ。死ななくて。」
「わたしが泣き続ける理由はね,
わたしのためになら死ねるほど
誰かに愛されたいってことなの。」
ぼくはその言葉を聞いて,
ちょっと違うな,と思った。
この世の中には
死ぬほど愛されたい人ばかりで溢れている。
死ぬほど愛されたくて泣き続けている人ばかりなんだよ。
ぼくはそれをわかっているから
泣かずにいられるんだよ。
ぼくは誰のためにも死なないよ。
Posted by 〜秋〜 at 22:18│Comments(4)
│言葉のチカラ
この記事へのコメント
「僕」に共感します^^
Posted by MT at 2007年09月10日 22:49
秋も「僕」に共感します。
自分で書いてなんだけど・・・(笑)
自分で書いてなんだけど・・・(笑)
Posted by 秋 at 2007年09月10日 23:05
共に、在ることでお互いの支えになれれば
不安や、迷いも、なくなるのかもしれませんね
不安や、迷いも、なくなるのかもしれませんね
Posted by ぷえるん at 2007年09月11日 16:10
>ぷえるんさん
そうですね。
存在自体を支えにできるならいいのでしょうね。
人間って欲深い生き物だなと思います。
そして,みんなやっぱりストレートに愛されたいんだろうなと思います。
そうですね。
存在自体を支えにできるならいいのでしょうね。
人間って欲深い生き物だなと思います。
そして,みんなやっぱりストレートに愛されたいんだろうなと思います。
Posted by 秋 at 2007年09月11日 21:28


