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2007年09月05日

Aくんと紙飛行機

夏休み前に『魔法の杖』だと言って枝をくれたAくんが
今日久しぶりに教室を走り回ってどうしようもなくなってしまった。

職員室で仕事をしていたら
「先生!○○先生が呼んでます。Aくんが暴れてるの。」
と子どもが呼びにきた。

慌てて教室に行ってみると
Aくんはノートをちぎって飛行機にしたものを片手に持って
教室を走り回っていた。
時々「着陸!」と言いながら
友達の頭に飛行機をぶつけた。

先生は彼のもう片方の手をつかんで
「Aくん!だめ!」
と叫んでいたが,聞こえていないようだった。

周りの子は席に座ったまま
「ちょっと座りなよ!」
「痛い!やめて!ばか!」
などと叫んでいて大騒ぎだった。

最初はわたしが
「Aくん!Aくん!」
と呼んでも本人が気が付かないほど
教室の中がうるさくなっていたので
まずは周りの子たち1人1人に
「しーーーーっ。先生に任せて。」
と言って歩いた。

少しずつ周りの子ども達が
「しーーーだってさ。」
と言って静かになり
Aくんにもわたしたちの声が届くくらいになった。

「かっこいいその飛行機!!!ねぇ,見せて見せて!」
彼がぴたっと止まったのはそのひと言だった。
「あ,これですか?これはですね,結構簡単に作れますよ。」
彼は時々,こんな風にとても大人びた話し方をする。

結局この時間は
なんとか自分の席に座ることはできたものの
わたしに飛行機の作り方を説明するだけで終わった。



後から彼の今後について話し合いを持ったが
わたしにとって不本意な結果に終わってしまった。

年配の先生方が「親御さんも実態を知ったほうがいい。」と言い
最近の彼の様子を伝えようということになったのだ。

もちろんそれは必要だと思うので異論はない。

ただ,伝えたほうがいい内容の中に
Aくん側にたった意見や見方がなかったのだ。

「最近,立ち歩きがひどいということを言おう。」
「友達にもちょっかいをかけるってこともね。」
「理科は全然やりたがらないということを言わないとね。」
「他の子のことも考えると個別の授業にしたほうがいいな。」


どれも本当のことなんだけれど,
これを聞いたお母さんがどんな気持ちになるかを考えると
わたしはとても辛かった。

周りが困るので彼をどうにかしよう,という風に聞こえるからだ。

彼のために大人や周りがどうやって支えるか,
という視点にたってお話をしないと,
お母さんは傷つくし独りになってしまうと思う。



たしかに周りは困っている。
でも,彼も,彼の家族も,やっぱり困っているのだ。
どうしたらいいのかなんて,誰にもわからない。
そんなこと,簡単にわかるはずがない。

わたしたち教員だって,同じ。
悩んで悩んで,いろんな方法を試して,失敗して,
反省して,また考えて,もう一度やってみる。
それの繰り返しだ。

彼が今日,紙飛行機を作る前に
気が付かなかったこちらも悪い。
もっと言えば
紙飛行機を作りたくなるような
そういう授業をしてはならないのだろうと思う。

彼の行動パターンを知れば知るほど
未然に防げる問題も多いはず。



Aくんは最近,
ずっと紙飛行機にはまっているらしい。
それがわかったわたしたちはどうするべきか。


とてもきれいな色の折り紙を買ってきて
お勉強を頑張れたらみんなで折ろうね,というのはどうだろう。

算数の問題に
Aくんは紙飛行機を○つ折りました・・・
などという例題を作るのはどうだろう。

Aくんを先生にして紙飛行機講座をしてもらい
講座の最後には「授業中には出さないでくださいね。」と
言ってもらうのはどうだろう。
自分で言ったからには気をつけるかもしれない。



彼と紙飛行機


明日はなにになっているだろう。






















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