2008年07月28日
涙が枯れ果てて
遠くばかりを見て
ため息をつくのはもうやめよう
自分は
自分以外の誰にもなれないことに
本当は気付いていたけれど
寂しさからは
まだ当分抜け出せそうにもないけれど
涙は枯れ果てた気がする
なにもかも投げやりになって
泣いて叫んで死にたいと訴えても
結局なにも変わらなかったけれど
このままじゃだめだってことは
なんとなくわかった気がする
ねぇ神様
わたしにチカラをかしてくださいな
誰かに必要とされるような
そんな人間になるために
ため息をつくのはもうやめよう
自分は
自分以外の誰にもなれないことに
本当は気付いていたけれど
寂しさからは
まだ当分抜け出せそうにもないけれど
涙は枯れ果てた気がする
なにもかも投げやりになって
泣いて叫んで死にたいと訴えても
結局なにも変わらなかったけれど
このままじゃだめだってことは
なんとなくわかった気がする
ねぇ神様
わたしにチカラをかしてくださいな
誰かに必要とされるような
そんな人間になるために
2008年06月28日
生きてみよう
先生は長い間だまってわたしの返事を待っている様子だった
わたしは
うまく考えがまとまらなかったし
なにより涙が止まらなかった
「つらいんですね。」
という言葉で
わたしの涙はさらに止まらなくなった。
「もう1人で十分頑張ってきたんですから,
誰かに頼りたくなることは普通のことです。
愛されたいとか認められたいという気持ちは
人によって強さは違うけれど
みながそう願うことなんです。」
先生のひとことひとことを噛み締めながら
左の手首にある
何本もの傷跡をそっと押さえた。
「少し通ってみませんか
あなたの幸せを考えていきましょう。」
診察券とたくさんの薬を受け取って
そそくさと車に乗り込んだ。
ふう
もう少し
生きてみようかな,と思った。
わたしは
うまく考えがまとまらなかったし
なにより涙が止まらなかった
「つらいんですね。」
という言葉で
わたしの涙はさらに止まらなくなった。
「もう1人で十分頑張ってきたんですから,
誰かに頼りたくなることは普通のことです。
愛されたいとか認められたいという気持ちは
人によって強さは違うけれど
みながそう願うことなんです。」
先生のひとことひとことを噛み締めながら
左の手首にある
何本もの傷跡をそっと押さえた。
「少し通ってみませんか
あなたの幸せを考えていきましょう。」
診察券とたくさんの薬を受け取って
そそくさと車に乗り込んだ。
ふう
もう少し
生きてみようかな,と思った。
2008年03月03日
雪だるま
彼からはなんの表情も読み取れなかったが
わたしの話を聞いていることは確かだった
どうしよう・・・・もう40分か。
今日はもう帰そう。
わたしはそんなことを思いながら窓の外を眺め
「また雪だ。いやになっちゃう。」
と,どうでもいいことを言った。
すると彼は以外にもその言葉に反応して
「雪だるま作った。昨日。」
とつぶやいた。
わたしは彼がやっと口を開いてくれたので,嬉しくなって
「どのくらいの大きさの?」
と聞いた。
彼はやっと目を合わせて微笑んだ。
「見たい?」
彼は学校から20分ほど歩いたところにある
小さなアパートの1階に住んでいる。
外は思ったほど寒くなく,
雪もさほど気にならなかった。
2人でぶらぶら話しながら歩いた。
「先生も雪だるまよく作ったなぁ。
大きいのが作れたときにはね
お風呂用の石炭を目にしたのよ。
石炭ってわかる?」
「わかる。ばあちゃんの家にあるもん。」
「あら,そう。おばあちゃんの家はどこ?」
「夕張だよ。時々行くんだ。
ばあちゃんはね,
ぼくのことが世界で一番かわいいって言うんだ。
本当はぼくと一緒に住みたいんだって。
一生懸命勉強してお医者さんになれって
いつもそうやって言ってる。
それでね,死んだ父ちゃんみたいに
病気で苦しんでいる人を助けたら?っていうのさ。」
「そう・・・・・・・・じゃぁお医者さんになるの?」
「たぶんね。」
彼はそれから少し黙って下を見ながら歩いた。
「でもさ,もう父さんは死んじゃったから
医者になったら,まず母さんの病気を治す。」
母さんの病気?
わたしは耳を疑った。
先月の参観日には元気に学校へ来ていたはずだ。
ちょっと迷ったけれど
やっぱり聞かずにはいられなかった。
「お母さんどこか悪いの?」
彼は少し歩く速度を落とし
わたしの目をしっかりと見てこう言った。
「こころ。」
彼の家に着くと
アパートの横に大きな大きな雪だるまがあって
その雪だるまの足元には
小さな雪だるまが5つ並べて置かれていた。
「この大きなのが父さんで
小さいのが母さんとぼくと弟と妹と
その下の弟なんだ。」
わたしはなんだかとても切なくなって
今日はお母さんに
ケンカの話をするのはやめようと思った。
彼に雪だるまのことをとても上手だと褒め,
「見せてくれてありがとう。また明日ね。」
と言って,もと来た道を100mほど引き返した時,
「ありがとうございましたぁ。」
と聞き覚えのある声が後ろから聞こえてきた。
振り返ると,彼の母親が小さい弟たちを連れて
手を振りながら頭を下げていた。
遠くからだったけれど,
随分と痩せた感じがした。
大きな大きな雪だるまは
自分の隣に並んだ小さな小さな家族のことを
愛しそうに見つめている気がした。
わたしの話を聞いていることは確かだった
どうしよう・・・・もう40分か。
今日はもう帰そう。
わたしはそんなことを思いながら窓の外を眺め
「また雪だ。いやになっちゃう。」
と,どうでもいいことを言った。
すると彼は以外にもその言葉に反応して
「雪だるま作った。昨日。」
とつぶやいた。
わたしは彼がやっと口を開いてくれたので,嬉しくなって
「どのくらいの大きさの?」
と聞いた。
彼はやっと目を合わせて微笑んだ。
「見たい?」
彼は学校から20分ほど歩いたところにある
小さなアパートの1階に住んでいる。
外は思ったほど寒くなく,
雪もさほど気にならなかった。
2人でぶらぶら話しながら歩いた。
「先生も雪だるまよく作ったなぁ。
大きいのが作れたときにはね
お風呂用の石炭を目にしたのよ。
石炭ってわかる?」
「わかる。ばあちゃんの家にあるもん。」
「あら,そう。おばあちゃんの家はどこ?」
「夕張だよ。時々行くんだ。
ばあちゃんはね,
ぼくのことが世界で一番かわいいって言うんだ。
本当はぼくと一緒に住みたいんだって。
一生懸命勉強してお医者さんになれって
いつもそうやって言ってる。
それでね,死んだ父ちゃんみたいに
病気で苦しんでいる人を助けたら?っていうのさ。」
「そう・・・・・・・・じゃぁお医者さんになるの?」
「たぶんね。」
彼はそれから少し黙って下を見ながら歩いた。
「でもさ,もう父さんは死んじゃったから
医者になったら,まず母さんの病気を治す。」
母さんの病気?
わたしは耳を疑った。
先月の参観日には元気に学校へ来ていたはずだ。
ちょっと迷ったけれど
やっぱり聞かずにはいられなかった。
「お母さんどこか悪いの?」
彼は少し歩く速度を落とし
わたしの目をしっかりと見てこう言った。
「こころ。」
彼の家に着くと
アパートの横に大きな大きな雪だるまがあって
その雪だるまの足元には
小さな雪だるまが5つ並べて置かれていた。
「この大きなのが父さんで
小さいのが母さんとぼくと弟と妹と
その下の弟なんだ。」
わたしはなんだかとても切なくなって
今日はお母さんに
ケンカの話をするのはやめようと思った。
彼に雪だるまのことをとても上手だと褒め,
「見せてくれてありがとう。また明日ね。」
と言って,もと来た道を100mほど引き返した時,
「ありがとうございましたぁ。」
と聞き覚えのある声が後ろから聞こえてきた。
振り返ると,彼の母親が小さい弟たちを連れて
手を振りながら頭を下げていた。
遠くからだったけれど,
随分と痩せた感じがした。
大きな大きな雪だるまは
自分の隣に並んだ小さな小さな家族のことを
愛しそうに見つめている気がした。
2008年03月02日
通り過ぎる人々
「別れればいいじゃん。」
いとも簡単に彼女は言って
コーヒーをこくんと一口飲んだ。
「はぁ?なんでそんなこと簡単に言うのよ。
ひとがこんなに苦しんでるって時に。」
「だから言ったんじゃないのよ。」
「・・・・・・・・・・・・・・・・」
「そんなに苦しんでるから言ったのよ。・・・・でしょ?」
彼女は「そんなこともわからないの?」と言いたげに
ため息をついて足を組み替えた。
「でも・・・・・好きなんだもん。」
小学生じゃあるまいし
わたしはなんて幼稚なことを言っているんだろう。
でも本当に好きだった。
「ふうん。じゃあ耐えなさいよ。4回目の浮気くらい。」
彼女はまたため息をついて足を組み替えた。
「耐えられるわけないじゃないの・・・好きなんだから。」
「だったら別れれば?」
彼女はうんと顔を近づけてこう言った。
「これはね,とても簡単なことなのよ。
難しくしているのはあなたなのよ。わかる?
だってそうでしょう?
他人の心を操るなんて不可能なのよ。
浮気し続ける彼に耐えるか
浮気し続ける彼と別れるか
それだけのことよ。」
彼女はこう続けた。
「ついでにね,
こんな簡単なことを決められない理由も教えてあげる。
あなたはね,耐えるか別れるかを決められないんじゃないの。
あなたにもう心がないってことを
信じられないだけなのよ。」
わたしは人目も憚らず
おんおんと声を上げて泣いて,
彼女はよしよしと頭をなでてくれた。
おんおん泣きながら
「涙がもったいないな。」
と思い始めている自分がいた。
いとも簡単に彼女は言って
コーヒーをこくんと一口飲んだ。
「はぁ?なんでそんなこと簡単に言うのよ。
ひとがこんなに苦しんでるって時に。」
「だから言ったんじゃないのよ。」
「・・・・・・・・・・・・・・・・」
「そんなに苦しんでるから言ったのよ。・・・・でしょ?」
彼女は「そんなこともわからないの?」と言いたげに
ため息をついて足を組み替えた。
「でも・・・・・好きなんだもん。」
小学生じゃあるまいし
わたしはなんて幼稚なことを言っているんだろう。
でも本当に好きだった。
「ふうん。じゃあ耐えなさいよ。4回目の浮気くらい。」
彼女はまたため息をついて足を組み替えた。
「耐えられるわけないじゃないの・・・好きなんだから。」
「だったら別れれば?」
彼女はうんと顔を近づけてこう言った。
「これはね,とても簡単なことなのよ。
難しくしているのはあなたなのよ。わかる?
だってそうでしょう?
他人の心を操るなんて不可能なのよ。
浮気し続ける彼に耐えるか
浮気し続ける彼と別れるか
それだけのことよ。」
彼女はこう続けた。
「ついでにね,
こんな簡単なことを決められない理由も教えてあげる。
あなたはね,耐えるか別れるかを決められないんじゃないの。
あなたにもう心がないってことを
信じられないだけなのよ。」
わたしは人目も憚らず
おんおんと声を上げて泣いて,
彼女はよしよしと頭をなでてくれた。
おんおん泣きながら
「涙がもったいないな。」
と思い始めている自分がいた。

2008年02月24日
自分の価値
自分の価値を見出せずに
もがき苦しんでいる人たちで
この世の中も苦しんでいる
「誰かに必要と言われるためにだったら
なんでもするわ」
彼女はいつもそういう香りをぷんぷん漂わせていた
彼はわたしのために
どこまでワガママをきいてくれるかしら
彼はわたしのために
どれだけ汚れてくれるかしら
彼はわたしのために
どれほど無様な姿で泣いてくれるかしら
彼はわたしがいないと
悲しすぎて死ぬかしら
どれほどわたしを必要なのかしら
その気持ちは永遠かしら
だが
彼女にとって
決してそれはゲームなんかじゃなかった
生きるか死ぬかの問題だったのだ
彼女は物心ついたころから
ひどく混乱し続けていた
奥深いところにある孤独の理由が自分にあることに
全く気付いていなかったのだ
彼女は本当に
本当になんにも気付いていなかった
化粧をしなくてもその素肌が美しいことに
陽だまりのあたたかさがとても心地よいことに
深い悲しみはいつか自分の糧になり
見えないオーラとなって光を放つことに
人は支えあうことはできても
まったく1つになんてなれないことにさえも
つまり彼女は
自分1人の力では
自分1人を支えきれないほど
弱ってしまっていたのだ
月日は流れ
彼女は
60歳になって70歳になって80歳を超えた
耳が少し遠くなって
動くときには必ず杖で身体を支え
老眼鏡をいつも首からぶら下げていた
もうすでに
死ぬほど誰かに愛されることなんて諦めていたし
とにかく全ての時間が
自分のためだけにあった
本を読んで
疲れたら花に水をあげた
食事の時には必ずあたたかいお茶を飲んだ
天気の良い日には
日傘をさして近くの公園に行き
なにもせずに目の前にあるものを眺めた
彼女は死ぬ前の日にも
まったく同じ一日を送った
それはそれは安らかな最期だった

もがき苦しんでいる人たちで
この世の中も苦しんでいる
「誰かに必要と言われるためにだったら
なんでもするわ」
彼女はいつもそういう香りをぷんぷん漂わせていた
彼はわたしのために
どこまでワガママをきいてくれるかしら
彼はわたしのために
どれだけ汚れてくれるかしら
彼はわたしのために
どれほど無様な姿で泣いてくれるかしら
彼はわたしがいないと
悲しすぎて死ぬかしら
どれほどわたしを必要なのかしら
その気持ちは永遠かしら
だが
彼女にとって
決してそれはゲームなんかじゃなかった
生きるか死ぬかの問題だったのだ
彼女は物心ついたころから
ひどく混乱し続けていた
奥深いところにある孤独の理由が自分にあることに
全く気付いていなかったのだ
彼女は本当に
本当になんにも気付いていなかった
化粧をしなくてもその素肌が美しいことに
陽だまりのあたたかさがとても心地よいことに
深い悲しみはいつか自分の糧になり
見えないオーラとなって光を放つことに
人は支えあうことはできても
まったく1つになんてなれないことにさえも
つまり彼女は
自分1人の力では
自分1人を支えきれないほど
弱ってしまっていたのだ
月日は流れ
彼女は
60歳になって70歳になって80歳を超えた
耳が少し遠くなって
動くときには必ず杖で身体を支え
老眼鏡をいつも首からぶら下げていた
もうすでに
死ぬほど誰かに愛されることなんて諦めていたし
とにかく全ての時間が
自分のためだけにあった
本を読んで
疲れたら花に水をあげた
食事の時には必ずあたたかいお茶を飲んだ
天気の良い日には
日傘をさして近くの公園に行き
なにもせずに目の前にあるものを眺めた
彼女は死ぬ前の日にも
まったく同じ一日を送った
それはそれは安らかな最期だった

2007年09月30日
長い長い夜に
傷ついて 疲れきったこの心を癒してくれるのはだれ
永遠に 永遠に 永遠に
わたしだけを愛してくれるのはだれ
わたしが泣き続ける限り
強く強く抱きしめ続けてくれるのはだれ
愛している 君しかいない と
飽きるほど囁き続けてくれるのはだれ
愛されたいと願えば願うほど
その欲求は際限なく強く 醜いものになり
相手をコントロールできない悔しさに涙が出る

ねぇ 気づいて
あなたに本当に必要なのは
誰かに愛されることじゃない
そんな不確かなものじゃない
今はただ
心の声に耳を傾けて
傷ついた心を抱きしめて泣いて
あなたをまるごと抱きしめて泣いて
長い長い夜が もうすぐ明ける
2007年09月18日
わたしの意味
息をしているだけだった
ベッドに横たわって
ただ目は壁の方を向いていた
朝がきて昼がきて夜がきても
わたしはただ
息をしているだけだった
キライキライダイキライ
こんな自分なんてダイキライ
他の誰かになれるのなら
早く死んでしまいたいくらいに
それでも
月曜日になるとわたしは
朝7時ちょうどにベッドから這い出て
テレビをつけてからシャワーを浴びる
何度も吐きそうになりながら
歯磨きもする
まつげはマスカラのおかげで倍の長さになるし
男からもらったバングルは
何重にも重なって細い手首に揺れる
オフィスで繰り返される一連の流れは
すっかり脳みそにインプットされているので
何も考えなくたって自動的に身体は動く
「今日のランチは何にする?」
とびきりの笑顔で話すけど
本当はそんなことどうだっていい
よそ行きの自分でいるのはひどく疲れるから
早く帰りたい帰りたい帰りたい
独りでいたい
横になって息をしているだけ
誰かお願い
わたしが産まれたきたわけを教えて
ベッドに横たわって
ただ目は壁の方を向いていた
朝がきて昼がきて夜がきても
わたしはただ
息をしているだけだった
キライキライダイキライ
こんな自分なんてダイキライ
他の誰かになれるのなら
早く死んでしまいたいくらいに
それでも
月曜日になるとわたしは
朝7時ちょうどにベッドから這い出て
テレビをつけてからシャワーを浴びる
何度も吐きそうになりながら
歯磨きもする
まつげはマスカラのおかげで倍の長さになるし
男からもらったバングルは
何重にも重なって細い手首に揺れる
オフィスで繰り返される一連の流れは
すっかり脳みそにインプットされているので
何も考えなくたって自動的に身体は動く
「今日のランチは何にする?」
とびきりの笑顔で話すけど
本当はそんなことどうだっていい
よそ行きの自分でいるのはひどく疲れるから
早く帰りたい帰りたい帰りたい
独りでいたい
横になって息をしているだけ
誰かお願い
わたしが産まれたきたわけを教えて
2007年09月10日
涙き続ける彼女と死ねないぼく

その日,彼女は
びっくりするくらい長い時間泣き続けた。
この小さな身体の
一体どこからこんなに涙が出てくるのだろう。
彼女は泣きつかれると
少しだけため息をついてボーッと遠くを見つめた。
それからまた
ふと思い出したように泣き始めた。
あまりにも長い時間泣いていたので
一番最初に泣きたくなった原因なんて
もうすでにわからなくなってしまっている様子だった。
まるで
今まで生きてきた悲しいこと全てを
一つ一つ思い出して泣いているように見えた。
午前三時を少し過ぎたころ
彼女がやっと発した言葉は
「みず。」
だった。
ぼくは慌てて立ち上がり
台所の隅に積んであった食器から
一番小さなグラスをとって水を入れた。
彼女はそれをコクンと音を立てて一口飲み
「ごめんね。」と言った。
「時々これくらい泣かないとだめなのよ。」
ぼくはまた彼女が泣き始めてしまわないように
慎重に言葉を選んで尋ねた。
「ぼくにできることはないかな。」
彼女はややしばらく黙っていた。
とても長い時間が過ぎたような気がした。
「わたしを愛してる?」
ぼくは一瞬息ができなくなった。
「愛しているよ。」
「死ぬほど?」
今度の質問にはさすがに戸惑ってしまった。
簡単に「うん。」なんて言ったら
「じゃあ,死んで見せてよ。」と言われそうだったからだ。
彼女のことは愛していたけれど,
死ぬほどではなかったのかもしれない。
死ぬほど愛するなんて,ぼくにはわからない。
「ねぇ,わたしが今必要としているのは,
わたしのために死ねる人なのよ。わかる?」
「わかる気もする。」
「でもあなたはわたしのために死ねない。」
「うん。悪いけど…。」
「いいのよ。そんなに簡単に死ねる人なんていないわ。」
「うん。なかなかいないだろうね。」
「わたしだって,あなたのために死ねないもの。」
「いいよ。死ななくて。」
「わたしが泣き続ける理由はね,
わたしのためになら死ねるほど
誰かに愛されたいってことなの。」
ぼくはその言葉を聞いて,
ちょっと違うな,と思った。
この世の中には
死ぬほど愛されたい人ばかりで溢れている。
死ぬほど愛されたくて泣き続けている人ばかりなんだよ。
ぼくはそれをわかっているから
泣かずにいられるんだよ。
ぼくは誰のためにも死なないよ。
びっくりするくらい長い時間泣き続けた。
この小さな身体の
一体どこからこんなに涙が出てくるのだろう。
彼女は泣きつかれると
少しだけため息をついてボーッと遠くを見つめた。
それからまた
ふと思い出したように泣き始めた。
あまりにも長い時間泣いていたので
一番最初に泣きたくなった原因なんて
もうすでにわからなくなってしまっている様子だった。
まるで
今まで生きてきた悲しいこと全てを
一つ一つ思い出して泣いているように見えた。
午前三時を少し過ぎたころ
彼女がやっと発した言葉は
「みず。」
だった。
ぼくは慌てて立ち上がり
台所の隅に積んであった食器から
一番小さなグラスをとって水を入れた。
彼女はそれをコクンと音を立てて一口飲み
「ごめんね。」と言った。
「時々これくらい泣かないとだめなのよ。」
ぼくはまた彼女が泣き始めてしまわないように
慎重に言葉を選んで尋ねた。
「ぼくにできることはないかな。」
彼女はややしばらく黙っていた。
とても長い時間が過ぎたような気がした。
「わたしを愛してる?」
ぼくは一瞬息ができなくなった。
「愛しているよ。」
「死ぬほど?」
今度の質問にはさすがに戸惑ってしまった。
簡単に「うん。」なんて言ったら
「じゃあ,死んで見せてよ。」と言われそうだったからだ。
彼女のことは愛していたけれど,
死ぬほどではなかったのかもしれない。
死ぬほど愛するなんて,ぼくにはわからない。
「ねぇ,わたしが今必要としているのは,
わたしのために死ねる人なのよ。わかる?」
「わかる気もする。」
「でもあなたはわたしのために死ねない。」
「うん。悪いけど…。」
「いいのよ。そんなに簡単に死ねる人なんていないわ。」
「うん。なかなかいないだろうね。」
「わたしだって,あなたのために死ねないもの。」
「いいよ。死ななくて。」
「わたしが泣き続ける理由はね,
わたしのためになら死ねるほど
誰かに愛されたいってことなの。」
ぼくはその言葉を聞いて,
ちょっと違うな,と思った。
この世の中には
死ぬほど愛されたい人ばかりで溢れている。
死ぬほど愛されたくて泣き続けている人ばかりなんだよ。
ぼくはそれをわかっているから
泣かずにいられるんだよ。
ぼくは誰のためにも死なないよ。
2007年08月26日
さようなら都会くん
もうここには
私の求めているものは何もない
騒音の中を
黙々と歩くことに疲れてしまったし
くだらない噂話にも
愛のない恋愛にも
すっかり飽きてしまった

さようなら 都会の騒音たち
さようなら 意味のないシガラミたち
ありったけのお金と
大好きな本と
着替えを少し持って行こう
どこまでも静かな夜と
穏やかな時間のある場所へ
私の求めているものは何もない
騒音の中を
黙々と歩くことに疲れてしまったし
くだらない噂話にも
愛のない恋愛にも
すっかり飽きてしまった

さようなら 都会の騒音たち
さようなら 意味のないシガラミたち
ありったけのお金と
大好きな本と
着替えを少し持って行こう
どこまでも静かな夜と
穏やかな時間のある場所へ



