2008年08月15日
3通のお返事
暑中お見舞いをクラスの子全員に出した。
「元気ですか?」以外に,ひと言ずつ
一人ひとりの顔を思い出しながら
心を込めてコメントを書いた。
年賀状はほとんどの場合返事が戻ってくるんだけれど,
暑中お見舞いの返事は戻ってこない方が多い。
わたしも別に「読んでくれてるかな。喜んでるかな。」とは思うが
返事を期待してい書いているわけではないので
特別気にしたことはない。
が,今年は3通,お返事がきた。
本当にかわいかった。
1通は女の子からで,2通は男の子からで,
その子らしさがものすごく伝わってくるハガキだった。
女の子はとても几帳面な子でお勉強も大好き。
給食当番も掃除当番もてきぱきとこなし
男の子が遊んでいると「ちゃんとやってくれる?」と注意できちゃう子。
日記や作文が得意で暇さえあれば私にくっついてきて
ぺらぺらとお話をしつづける。
ハガキには彼女らしく
きれいに色のついた風船が描かれていて,
その上からとても丁寧な字で
『○○に行ってきて,~をして,とても楽しかったです。
もうすぐみんなや先生と会えるので楽しみです。』
と書かれていた。そして,
『暑いけど,先生,お仕事がんばってください。』
と付け加えられていた。
彼女らしい気配りだなぁと思う。
男子2人のハガキもとても味があってよかった。
1人目は小柄でシャイで無口な男の子。
うちわの形のハガキに青いペンで小さく
『元気です』
とだけ書いてあった。
わたしが「元気ですか?」と書いたので
「元気です。」と返事をくれたのだろう。
シンプルで彼らしい。
彼は,必要最小限の言葉で心情を表現をするタイプなのだ。
もう一人。
学校で一番元気な男の子。
「少林寺の試合どうだった?」
とわたしが書いたことに対して
『3いでした。ほんとは1いがいかった。がっこうにいったら
めだるとしょうじょうみせるね。』
と書いてあった。
97パーセントくらいは平仮名で書かれていたので
最初はめだるをメダカと読んだくらいだ。
最後に小さく
『よめました?』
と書いてあったのには笑ってしまった。
わたしがいつも彼のノートをのぞき
「なんだいこの字は!おい,日本人よ。日本語を書いておくれ。」
と言うと彼はケタケタと笑い
「うえーーーもっかいかぁ。」
と書き直す。めんこい子だ。
彼の字は
酔っ払ったゾウさんが鼻の先に細いペンを持って
必死で上手に書こうとしているような,そういう字だ。
19日から学校が始まる。
めんこい33人がうじゃうじゃとわたしの周りに集まり
一斉好きなことを話し始める。
ふむ。
事務的で意味のない書類上だけの必要性が微塵も感じられないような仕事がなければ
教員っていい仕事だなーと思う。
「元気ですか?」以外に,ひと言ずつ
一人ひとりの顔を思い出しながら
心を込めてコメントを書いた。
年賀状はほとんどの場合返事が戻ってくるんだけれど,
暑中お見舞いの返事は戻ってこない方が多い。
わたしも別に「読んでくれてるかな。喜んでるかな。」とは思うが
返事を期待してい書いているわけではないので
特別気にしたことはない。
が,今年は3通,お返事がきた。
本当にかわいかった。
1通は女の子からで,2通は男の子からで,
その子らしさがものすごく伝わってくるハガキだった。
女の子はとても几帳面な子でお勉強も大好き。
給食当番も掃除当番もてきぱきとこなし
男の子が遊んでいると「ちゃんとやってくれる?」と注意できちゃう子。
日記や作文が得意で暇さえあれば私にくっついてきて
ぺらぺらとお話をしつづける。
ハガキには彼女らしく
きれいに色のついた風船が描かれていて,
その上からとても丁寧な字で
『○○に行ってきて,~をして,とても楽しかったです。
もうすぐみんなや先生と会えるので楽しみです。』
と書かれていた。そして,
『暑いけど,先生,お仕事がんばってください。』
と付け加えられていた。
彼女らしい気配りだなぁと思う。
男子2人のハガキもとても味があってよかった。
1人目は小柄でシャイで無口な男の子。
うちわの形のハガキに青いペンで小さく
『元気です』
とだけ書いてあった。
わたしが「元気ですか?」と書いたので
「元気です。」と返事をくれたのだろう。
シンプルで彼らしい。
彼は,必要最小限の言葉で心情を表現をするタイプなのだ。
もう一人。
学校で一番元気な男の子。
「少林寺の試合どうだった?」
とわたしが書いたことに対して
『3いでした。ほんとは1いがいかった。がっこうにいったら
めだるとしょうじょうみせるね。』
と書いてあった。
97パーセントくらいは平仮名で書かれていたので
最初はめだるをメダカと読んだくらいだ。
最後に小さく
『よめました?』
と書いてあったのには笑ってしまった。
わたしがいつも彼のノートをのぞき
「なんだいこの字は!おい,日本人よ。日本語を書いておくれ。」
と言うと彼はケタケタと笑い
「うえーーーもっかいかぁ。」
と書き直す。めんこい子だ。
彼の字は
酔っ払ったゾウさんが鼻の先に細いペンを持って
必死で上手に書こうとしているような,そういう字だ。
19日から学校が始まる。
めんこい33人がうじゃうじゃとわたしの周りに集まり
一斉好きなことを話し始める。
ふむ。
事務的で意味のない書類上だけの必要性が微塵も感じられないような仕事がなければ
教員っていい仕事だなーと思う。
2008年08月02日
先生助けて
先生助けて から始まっている日記の返事が書けないでいる。
夏休みが始まる前の日に
ある女の子がわたしに出した日記だ。
詳しくは書けないが
おうちの中がぎくしゃくしているらしい。
おばあちゃんが同居してから
少しずつ家が変になってしまったと書いてあった。
「先生は,いつも
苦手な部分は誰にでもあるんだから
助け合いなさいっていうけど
うちの家族は助け合わないので
おかしいと思います。」
と書いてあった。
大人には大人の事情があって
子どもよりそれはずっと複雑で
生きてきた年月が長い分
もう曲げられない自分というのもある。
そしてなにより
大人はもう疲れちゃっていて
人のことを考えたくても
自分のことで精一杯だったりもする。
先生助けて
彼女にかけてあげる言葉が
今ひとつ思い浮かばない。
夏休みが始まる前の日に
ある女の子がわたしに出した日記だ。
詳しくは書けないが
おうちの中がぎくしゃくしているらしい。
おばあちゃんが同居してから
少しずつ家が変になってしまったと書いてあった。
「先生は,いつも
苦手な部分は誰にでもあるんだから
助け合いなさいっていうけど
うちの家族は助け合わないので
おかしいと思います。」
と書いてあった。
大人には大人の事情があって
子どもよりそれはずっと複雑で
生きてきた年月が長い分
もう曲げられない自分というのもある。
そしてなにより
大人はもう疲れちゃっていて
人のことを考えたくても
自分のことで精一杯だったりもする。
先生助けて
彼女にかけてあげる言葉が
今ひとつ思い浮かばない。
2008年06月23日
珍解答・・・・発芽の条件・・・・
何度も教えたつもりだった。
インゲン豆を実際に使って実験もした。
プリントで復習もした。
5年生の理科で学習する
~インゲン豆の発芽に欠かせないもの~
それは
( 空気 )( 水 )( 適当な温度 )
である。
今日はまたまたプリントで復習をした。
5分もしないうちにTくんがうなり始めた。
Tくん 「なんだっけぇ。これあと一個。」
Sくん 「どれ?」
Tくん 「発芽の条件さ。」
Sくん 「ヒントあげるから見せて。」
Tくん 小さい声で 「空気と水とはわかったんだけどさぁ。」
Sくん 「えぇ?簡単じゃん。
冷蔵庫に入れたインゲン育たなかったべ。」
Tくん 「うん・・・・・・・・。」
Sくん 「まだわかんないのぉ?ヒントはあたたかさだよ。」
そこまでヒント出すなよ,と思いつつ
Tくんのそばへプリントをのぞきにいった。
Tくんはにやりと笑いながら
「わかった。Sのおかげで。」と言った。
( 空気 )( 水 )( 愛 )
問題はね,
彼が真剣にそう書いてたってことなのよ。
まいったねぇ。
この前も真剣に
「おれ,うえうみに行きたいな。」
と言っていたので,
「どこ,それ。」
と聞くと,上海(シャンハイ)のことだった。
彼のおかげで毎日楽しいと思うことにして
もう一度教えなおします。
インゲン豆を実際に使って実験もした。
プリントで復習もした。
5年生の理科で学習する
~インゲン豆の発芽に欠かせないもの~
それは
( 空気 )( 水 )( 適当な温度 )
である。
今日はまたまたプリントで復習をした。
5分もしないうちにTくんがうなり始めた。
Tくん 「なんだっけぇ。これあと一個。」
Sくん 「どれ?」
Tくん 「発芽の条件さ。」
Sくん 「ヒントあげるから見せて。」
Tくん 小さい声で 「空気と水とはわかったんだけどさぁ。」
Sくん 「えぇ?簡単じゃん。
冷蔵庫に入れたインゲン育たなかったべ。」
Tくん 「うん・・・・・・・・。」
Sくん 「まだわかんないのぉ?ヒントはあたたかさだよ。」
そこまでヒント出すなよ,と思いつつ
Tくんのそばへプリントをのぞきにいった。
Tくんはにやりと笑いながら
「わかった。Sのおかげで。」と言った。
( 空気 )( 水 )( 愛 )
問題はね,
彼が真剣にそう書いてたってことなのよ。
まいったねぇ。
この前も真剣に
「おれ,うえうみに行きたいな。」
と言っていたので,
「どこ,それ。」
と聞くと,上海(シャンハイ)のことだった。
彼のおかげで毎日楽しいと思うことにして
もう一度教えなおします。
2008年06月21日
寝てちょーだいっ!
宿泊学習に行ってきました。
たった1泊2日でやられました(笑)
ケガや事故がなかったからとにかく良かったけれど
引率する側としては
夜,ちゃんと寝てくれるかどうかは大きなポイント。
ちゃんと寝ないと次の朝
「先生,具合悪い。」
「先生,頭いたい。」
「先生,お腹いたい。」
挙句の果てには
「先生,気持ち悪いからバスに乗れない。」
と始まる。
1日目には子ども達に気持ちよく寝ていただこうと
登山をいれ,
記念のものを作る体験学習をいれ,
キャンプファイヤーをいれ,
入浴後すぐに消灯という日程を組んでいる。
22時には寝ないだろうけど
1時間も見回りすれば寝てくれるだろう・・・・
と思っていたわたしが甘かった。
見回り3回目 24時 女子部屋
スー・・・スー・・・
スー・・・スー・・・
よしと,作戦成功。爆睡してるじゃん。
めんこいめんこい。
男子部屋
ドアに近づいていくなり
「あ。きた。」「やべぇ。」
ばたばたっ
もぞもぞ・・・・・・・・・・
しーーーーーーーん
ドアを開けて中に入る。
しーーーーーーーん
絶対起きてるな,というヤツに狙いをさだめて近寄る。
しーーーーーーーん
耳元で「たぬきねいりくん。」とささやいてみる。
「ぶはっ!!!」とあちこちで笑いが起こり
ふとんから顔を出す男子。
「ちょっといい加減に寝なさいよ。明日具合悪くなるからさー。」
「今,いいとこなんだって。俺の恋愛ばなし。先生も聞く?」
聞くか,あほ。
今度見回りに来たときに起きてたら
あまった部屋に移すぞ。おばけ出るから。ホント。
一人で寝ていただきますから。
と脅して出ていく。
結局彼らが寝たのは夜中の1時過ぎ。
その後,わたしは
「先生,ぼくトイレに起こしてね。一時間おきにね。」
と頼まれていた子を起こしに行くこと5回。
「うーーーん。わかったって,うるせー。」
などと言われてもめげずに無理やり起こしトイレに行かせる。
もちろんわたしは一睡もできず帰宅。
来年の修学旅行はもっとハードな一日目にしないとだめですな。こりゃ。
たった1泊2日でやられました(笑)
ケガや事故がなかったからとにかく良かったけれど
引率する側としては
夜,ちゃんと寝てくれるかどうかは大きなポイント。
ちゃんと寝ないと次の朝
「先生,具合悪い。」
「先生,頭いたい。」
「先生,お腹いたい。」
挙句の果てには
「先生,気持ち悪いからバスに乗れない。」
と始まる。
1日目には子ども達に気持ちよく寝ていただこうと
登山をいれ,
記念のものを作る体験学習をいれ,
キャンプファイヤーをいれ,
入浴後すぐに消灯という日程を組んでいる。
22時には寝ないだろうけど
1時間も見回りすれば寝てくれるだろう・・・・
と思っていたわたしが甘かった。
見回り3回目 24時 女子部屋
スー・・・スー・・・
スー・・・スー・・・
よしと,作戦成功。爆睡してるじゃん。
めんこいめんこい。
男子部屋
ドアに近づいていくなり
「あ。きた。」「やべぇ。」
ばたばたっ
もぞもぞ・・・・・・・・・・
しーーーーーーーん
ドアを開けて中に入る。
しーーーーーーーん
絶対起きてるな,というヤツに狙いをさだめて近寄る。
しーーーーーーーん
耳元で「たぬきねいりくん。」とささやいてみる。
「ぶはっ!!!」とあちこちで笑いが起こり
ふとんから顔を出す男子。
「ちょっといい加減に寝なさいよ。明日具合悪くなるからさー。」
「今,いいとこなんだって。俺の恋愛ばなし。先生も聞く?」
聞くか,あほ。
今度見回りに来たときに起きてたら
あまった部屋に移すぞ。おばけ出るから。ホント。
一人で寝ていただきますから。
と脅して出ていく。
結局彼らが寝たのは夜中の1時過ぎ。
その後,わたしは
「先生,ぼくトイレに起こしてね。一時間おきにね。」
と頼まれていた子を起こしに行くこと5回。
「うーーーん。わかったって,うるせー。」
などと言われてもめげずに無理やり起こしトイレに行かせる。
もちろんわたしは一睡もできず帰宅。
来年の修学旅行はもっとハードな一日目にしないとだめですな。こりゃ。
2007年09月05日
Aくんと紙飛行機
夏休み前に『魔法の杖』だと言って枝をくれたAくんが
今日久しぶりに教室を走り回ってどうしようもなくなってしまった。
職員室で仕事をしていたら
「先生!○○先生が呼んでます。Aくんが暴れてるの。」
と子どもが呼びにきた。
慌てて教室に行ってみると
Aくんはノートをちぎって飛行機にしたものを片手に持って
教室を走り回っていた。
時々「着陸!」と言いながら
友達の頭に飛行機をぶつけた。
先生は彼のもう片方の手をつかんで
「Aくん!だめ!」
と叫んでいたが,聞こえていないようだった。
周りの子は席に座ったまま
「ちょっと座りなよ!」
「痛い!やめて!ばか!」
などと叫んでいて大騒ぎだった。
最初はわたしが
「Aくん!Aくん!」
と呼んでも本人が気が付かないほど
教室の中がうるさくなっていたので
まずは周りの子たち1人1人に
「しーーーーっ。先生に任せて。」
と言って歩いた。
少しずつ周りの子ども達が
「しーーーだってさ。」
と言って静かになり
Aくんにもわたしたちの声が届くくらいになった。
「かっこいいその飛行機!!!ねぇ,見せて見せて!」
彼がぴたっと止まったのはそのひと言だった。
「あ,これですか?これはですね,結構簡単に作れますよ。」
彼は時々,こんな風にとても大人びた話し方をする。
結局この時間は
なんとか自分の席に座ることはできたものの
わたしに飛行機の作り方を説明するだけで終わった。
後から彼の今後について話し合いを持ったが
わたしにとって不本意な結果に終わってしまった。
年配の先生方が「親御さんも実態を知ったほうがいい。」と言い
最近の彼の様子を伝えようということになったのだ。
もちろんそれは必要だと思うので異論はない。
ただ,伝えたほうがいい内容の中に
Aくん側にたった意見や見方がなかったのだ。
「最近,立ち歩きがひどいということを言おう。」
「友達にもちょっかいをかけるってこともね。」
「理科は全然やりたがらないということを言わないとね。」
「他の子のことも考えると個別の授業にしたほうがいいな。」
どれも本当のことなんだけれど,
これを聞いたお母さんがどんな気持ちになるかを考えると
わたしはとても辛かった。
周りが困るので彼をどうにかしよう,という風に聞こえるからだ。
彼のために大人や周りがどうやって支えるか,
という視点にたってお話をしないと,
お母さんは傷つくし独りになってしまうと思う。
たしかに周りは困っている。
でも,彼も,彼の家族も,やっぱり困っているのだ。
どうしたらいいのかなんて,誰にもわからない。
そんなこと,簡単にわかるはずがない。
わたしたち教員だって,同じ。
悩んで悩んで,いろんな方法を試して,失敗して,
反省して,また考えて,もう一度やってみる。
それの繰り返しだ。
彼が今日,紙飛行機を作る前に
気が付かなかったこちらも悪い。
もっと言えば
紙飛行機を作りたくなるような
そういう授業をしてはならないのだろうと思う。
彼の行動パターンを知れば知るほど
未然に防げる問題も多いはず。
Aくんは最近,
ずっと紙飛行機にはまっているらしい。
それがわかったわたしたちはどうするべきか。
とてもきれいな色の折り紙を買ってきて
お勉強を頑張れたらみんなで折ろうね,というのはどうだろう。
算数の問題に
Aくんは紙飛行機を○つ折りました・・・
などという例題を作るのはどうだろう。
Aくんを先生にして紙飛行機講座をしてもらい
講座の最後には「授業中には出さないでくださいね。」と
言ってもらうのはどうだろう。
自分で言ったからには気をつけるかもしれない。
彼と紙飛行機
明日はなにになっているだろう。
今日久しぶりに教室を走り回ってどうしようもなくなってしまった。
職員室で仕事をしていたら
「先生!○○先生が呼んでます。Aくんが暴れてるの。」
と子どもが呼びにきた。
慌てて教室に行ってみると
Aくんはノートをちぎって飛行機にしたものを片手に持って
教室を走り回っていた。
時々「着陸!」と言いながら
友達の頭に飛行機をぶつけた。
先生は彼のもう片方の手をつかんで
「Aくん!だめ!」
と叫んでいたが,聞こえていないようだった。
周りの子は席に座ったまま
「ちょっと座りなよ!」
「痛い!やめて!ばか!」
などと叫んでいて大騒ぎだった。
最初はわたしが
「Aくん!Aくん!」
と呼んでも本人が気が付かないほど
教室の中がうるさくなっていたので
まずは周りの子たち1人1人に
「しーーーーっ。先生に任せて。」
と言って歩いた。
少しずつ周りの子ども達が
「しーーーだってさ。」
と言って静かになり
Aくんにもわたしたちの声が届くくらいになった。
「かっこいいその飛行機!!!ねぇ,見せて見せて!」
彼がぴたっと止まったのはそのひと言だった。
「あ,これですか?これはですね,結構簡単に作れますよ。」
彼は時々,こんな風にとても大人びた話し方をする。
結局この時間は
なんとか自分の席に座ることはできたものの
わたしに飛行機の作り方を説明するだけで終わった。
後から彼の今後について話し合いを持ったが
わたしにとって不本意な結果に終わってしまった。
年配の先生方が「親御さんも実態を知ったほうがいい。」と言い
最近の彼の様子を伝えようということになったのだ。
もちろんそれは必要だと思うので異論はない。
ただ,伝えたほうがいい内容の中に
Aくん側にたった意見や見方がなかったのだ。
「最近,立ち歩きがひどいということを言おう。」
「友達にもちょっかいをかけるってこともね。」
「理科は全然やりたがらないということを言わないとね。」
「他の子のことも考えると個別の授業にしたほうがいいな。」
どれも本当のことなんだけれど,
これを聞いたお母さんがどんな気持ちになるかを考えると
わたしはとても辛かった。
周りが困るので彼をどうにかしよう,という風に聞こえるからだ。
彼のために大人や周りがどうやって支えるか,
という視点にたってお話をしないと,
お母さんは傷つくし独りになってしまうと思う。
たしかに周りは困っている。
でも,彼も,彼の家族も,やっぱり困っているのだ。
どうしたらいいのかなんて,誰にもわからない。
そんなこと,簡単にわかるはずがない。
わたしたち教員だって,同じ。
悩んで悩んで,いろんな方法を試して,失敗して,
反省して,また考えて,もう一度やってみる。
それの繰り返しだ。
彼が今日,紙飛行機を作る前に
気が付かなかったこちらも悪い。
もっと言えば
紙飛行機を作りたくなるような
そういう授業をしてはならないのだろうと思う。
彼の行動パターンを知れば知るほど
未然に防げる問題も多いはず。
Aくんは最近,
ずっと紙飛行機にはまっているらしい。
それがわかったわたしたちはどうするべきか。
とてもきれいな色の折り紙を買ってきて
お勉強を頑張れたらみんなで折ろうね,というのはどうだろう。
算数の問題に
Aくんは紙飛行機を○つ折りました・・・
などという例題を作るのはどうだろう。
Aくんを先生にして紙飛行機講座をしてもらい
講座の最後には「授業中には出さないでくださいね。」と
言ってもらうのはどうだろう。
自分で言ったからには気をつけるかもしれない。
彼と紙飛行機
明日はなにになっているだろう。
2007年06月30日
どうしておもしろいの?
木・金と修学旅行に行ってきた。
お天気は寒くもなく,暑くもなく,丁度良い天気で
子ども達が怪我もなく楽しんで帰ってくることができて
まずは良かった。
小学校の修学旅行のコースは昔も今もあまり変わらず,
どこの小学校でも(札幌近辺では)洞爺湖のサンパレスへ泊まり,
白老でアイヌについて学習したり,
昭和新山を見に行ったり,
二日目にはルスツの遊園地で楽しむというのがほとんど。
うちの学校もごくごく普通のコースめぐりをしてから
サンパレスへ向かった。
サンパレスに着く前に,
白老のポロトコタンというところへ行った。
アイヌの学習をするためだ。
チセというアイヌ民族が住んでいた家に入ると
そこでは,アイヌの民族衣装を着た人々が
ムックリを演奏してくれたり,
歌を歌ってくれたりする。
チ セ
↓

※実際のチセよりも観光用に大きく作られている。
近くに民族資料館があって,とてもとてもおもしろかった。
アイヌのクマ送りの儀式についてや
全てのものに神が宿っているという精神には
今の時代だからこそ忘れてはいけない先人の教えが
説かれている気がした。
わたしが夢中になって資料館の説明ボードに見入っていると
たたたたたっ
と後を通りすぎていく6年生。
「・・・はぁ・・・はぁ・・・見つかった?」
「ううん。あっ!きた!!」
「きゃーーーー。」
「どこでかくれんぼしてんだーーー!!」とわたしに一喝されてシュンとなった男子がひとこと。
「だって,おもしくないんだもん。もう見たもん。」
「どうしてここがおもしろいの?」
そっかーそうだよなー。
子どものころって,こういうところに興味がわかなかったかもしれない。
仕方がないので3人の悪がきボンズを連れて
噛み砕いて説明をしてあげた。
3人は少しずつ興味を示し,
「ねー,これはなに。」
「これ,どうやって使ってたの。」
「なんでこんな刺青してたの。」
と質問をしてくるまでになった。
夜に先生たちで簡単なミーティングを行ったときには
他の先生たちからもわたしと同じような反省が出てきて
「ポロトコタンでは教師による噛み砕いた説明が必要。
子どもたちだけで見て回るにはちょっと難しい。
来年の6年生に引き継ごう。」という話になった。
大人にはなかなか面白い場所だと思うが,経営が苦しいらしい。
北海道にくることがあったら是非一度立ち寄っていただきたい。
↓
http://www.ainu-museum.or.jp/index.html
お天気は寒くもなく,暑くもなく,丁度良い天気で
子ども達が怪我もなく楽しんで帰ってくることができて
まずは良かった。
小学校の修学旅行のコースは昔も今もあまり変わらず,
どこの小学校でも(札幌近辺では)洞爺湖のサンパレスへ泊まり,
白老でアイヌについて学習したり,
昭和新山を見に行ったり,
二日目にはルスツの遊園地で楽しむというのがほとんど。
うちの学校もごくごく普通のコースめぐりをしてから
サンパレスへ向かった。
サンパレスに着く前に,
白老のポロトコタンというところへ行った。
アイヌの学習をするためだ。
チセというアイヌ民族が住んでいた家に入ると
そこでは,アイヌの民族衣装を着た人々が
ムックリを演奏してくれたり,
歌を歌ってくれたりする。
チ セ
↓

※実際のチセよりも観光用に大きく作られている。
近くに民族資料館があって,とてもとてもおもしろかった。
アイヌのクマ送りの儀式についてや
全てのものに神が宿っているという精神には
今の時代だからこそ忘れてはいけない先人の教えが
説かれている気がした。
わたしが夢中になって資料館の説明ボードに見入っていると
たたたたたっ
と後を通りすぎていく6年生。
「・・・はぁ・・・はぁ・・・見つかった?」
「ううん。あっ!きた!!」
「きゃーーーー。」
「どこでかくれんぼしてんだーーー!!」とわたしに一喝されてシュンとなった男子がひとこと。
「だって,おもしくないんだもん。もう見たもん。」
「どうしてここがおもしろいの?」
そっかーそうだよなー。
子どものころって,こういうところに興味がわかなかったかもしれない。
仕方がないので3人の悪がきボンズを連れて
噛み砕いて説明をしてあげた。
3人は少しずつ興味を示し,
「ねー,これはなに。」
「これ,どうやって使ってたの。」
「なんでこんな刺青してたの。」
と質問をしてくるまでになった。
夜に先生たちで簡単なミーティングを行ったときには
他の先生たちからもわたしと同じような反省が出てきて
「ポロトコタンでは教師による噛み砕いた説明が必要。
子どもたちだけで見て回るにはちょっと難しい。
来年の6年生に引き継ごう。」という話になった。
大人にはなかなか面白い場所だと思うが,経営が苦しいらしい。
北海道にくることがあったら是非一度立ち寄っていただきたい。
↓
http://www.ainu-museum.or.jp/index.html
2007年05月07日
班長の負け
集団下校訓練があった。
台風や大雪のときとか,
不審者情報が流れたときなんかのために
集団で下校する訓練だ。
今日は今年初めての訓練で
1年生は「ワケワカリマセン」っていう顔で集まっていた。
わたしの担当の班は66人もの子どもたちが集まった。
まず最初に,出席をとってから班長を決める。
「班長さんは毎年6年生にお願いしています。
だれかやってくれませんか?」
と聞くと一番前で
「はいっ!」
と元気に手をあげてたった女の子がいた。
黄色い帽子をかぶった一年生だった。
とってもかわいくて,断るのは悪かったんだけれど,
班長さんは6年生なの,ということを説明すると
「ふうん。」と言って座った。
結局6年生の男の子が班長になった。
班長とさっきの1年生の女の子との
とてもおもしろいバトルがはじまった。
班 長「えっと,通学路であぶないところを発表してください。たとえば・・・」
1年生「はいっ!」
班 長「あ・・・・はい。どうぞ。」
1年生「変なおじさんはあぶないと思います。どうですか。」
他の子「いいで・・・す・・・?」
班 長「いや,通学路でだよ。変なおじさんじゃなくて。」
1年生「ツウガクロってなあに。」
班 長「うんと,いつも学校くる時に通る道のことさ。」
1年生「ふうん。」
班 長「えっと・・・他にありませんか?」
1年生「なにが。」
班 長「なにがって,危ないところ。」
1年生「はいっ!変なおじさんがいたら危ないところだと思います。どうですか。」
他の子「・・・・・・・・・・・いいで・・・・・す。」
今日は完全に班長さんの負け。
おつかれさん。
大変だったねー。
先生はおもしろかったよ。
ダイエット日記7日目
【体重】 48.4キロ
【体脂肪】 28.0%
なーーーんにも変化なし。当たり前よね。食べてるもの。
台風や大雪のときとか,
不審者情報が流れたときなんかのために
集団で下校する訓練だ。
今日は今年初めての訓練で
1年生は「ワケワカリマセン」っていう顔で集まっていた。
わたしの担当の班は66人もの子どもたちが集まった。
まず最初に,出席をとってから班長を決める。
「班長さんは毎年6年生にお願いしています。
だれかやってくれませんか?」
と聞くと一番前で
「はいっ!」
と元気に手をあげてたった女の子がいた。
黄色い帽子をかぶった一年生だった。
とってもかわいくて,断るのは悪かったんだけれど,
班長さんは6年生なの,ということを説明すると
「ふうん。」と言って座った。
結局6年生の男の子が班長になった。
班長とさっきの1年生の女の子との
とてもおもしろいバトルがはじまった。
班 長「えっと,通学路であぶないところを発表してください。たとえば・・・」
1年生「はいっ!」
班 長「あ・・・・はい。どうぞ。」
1年生「変なおじさんはあぶないと思います。どうですか。」
他の子「いいで・・・す・・・?」
班 長「いや,通学路でだよ。変なおじさんじゃなくて。」
1年生「ツウガクロってなあに。」
班 長「うんと,いつも学校くる時に通る道のことさ。」
1年生「ふうん。」
班 長「えっと・・・他にありませんか?」
1年生「なにが。」
班 長「なにがって,危ないところ。」
1年生「はいっ!変なおじさんがいたら危ないところだと思います。どうですか。」
他の子「・・・・・・・・・・・いいで・・・・・す。」
今日は完全に班長さんの負け。
おつかれさん。
大変だったねー。
先生はおもしろかったよ。
ダイエット日記7日目
【体重】 48.4キロ
【体脂肪】 28.0%
なーーーんにも変化なし。当たり前よね。食べてるもの。
2007年04月28日
不器用な彼女のお礼
椅子に座って楽器を練習している彼女の表情に
少し焦りが見られるようになった。
彼女は5年生だけれども、
後から入った4年生の方が器用で上達が速いという現実を
目の当たりにする場面が増えてきたからだ。
一週間も前から練習してきた曲なのに
彼女は4小節吹くのがやっと。
でも3日前に入ってきたピアノの上手な4年生は
まったく間違えずに、もう最後まで演奏できる。
「先生!聴いて!吹けるようになった!」
そう嬉しそうにわたしのところへ来る4年生がいると、
必ず、練習する手をとめて、じーーーっと見ている。
どんな気持ちなんだろうと思うと苦しくなる。
毎回彼女にはマンツーマンで教えるけれど、
レとファの指づかいが似ているのでやりづらいの、と言う。
レとファの指づかいは、そんなに似ていないのだけれど、
彼女にとっては似ているのだ。
「すぐ忘れちゃうんだもん。」
なかなか練習が思い通りにいかないと、彼女はそう言うようになった。
彼女は練習以外の時にも、「忘れる」という言葉をよく使う。
なんて声をかけたらいいのか迷ったけれど、
本当のことを言った。
「何回忘れてもいいんだよ。何回も教えてあげるから。
先生は、○○○(彼女の名前)と一緒に練習できるのが楽しみで
毎日学校に来てるんだよ。
だから毎日先生に会いにクラブに来てくれる?」
「うん。来るけど。あのさ・・・・・・家、どこ?」
話はわたしの家の場所へとそれていった。
昨日の放課後、彼女が職員室にきて
魚のマスコットをくれた。
「これ、昨日作ったの。」
不器用な彼女が、一生懸命に作ってくれた魚のマスコット。
マスコットの裏には
わたしの名前とハートマークの刺繍があった。
水色のフェルトで作ったお魚さん。
↓

裏側には秋の名前とハートマーク。
↓

少し焦りが見られるようになった。
彼女は5年生だけれども、
後から入った4年生の方が器用で上達が速いという現実を
目の当たりにする場面が増えてきたからだ。
一週間も前から練習してきた曲なのに
彼女は4小節吹くのがやっと。
でも3日前に入ってきたピアノの上手な4年生は
まったく間違えずに、もう最後まで演奏できる。
「先生!聴いて!吹けるようになった!」
そう嬉しそうにわたしのところへ来る4年生がいると、
必ず、練習する手をとめて、じーーーっと見ている。
どんな気持ちなんだろうと思うと苦しくなる。
毎回彼女にはマンツーマンで教えるけれど、
レとファの指づかいが似ているのでやりづらいの、と言う。
レとファの指づかいは、そんなに似ていないのだけれど、
彼女にとっては似ているのだ。
「すぐ忘れちゃうんだもん。」
なかなか練習が思い通りにいかないと、彼女はそう言うようになった。
彼女は練習以外の時にも、「忘れる」という言葉をよく使う。
なんて声をかけたらいいのか迷ったけれど、
本当のことを言った。
「何回忘れてもいいんだよ。何回も教えてあげるから。
先生は、○○○(彼女の名前)と一緒に練習できるのが楽しみで
毎日学校に来てるんだよ。
だから毎日先生に会いにクラブに来てくれる?」
「うん。来るけど。あのさ・・・・・・家、どこ?」
話はわたしの家の場所へとそれていった。
昨日の放課後、彼女が職員室にきて
魚のマスコットをくれた。
「これ、昨日作ったの。」
不器用な彼女が、一生懸命に作ってくれた魚のマスコット。
マスコットの裏には
わたしの名前とハートマークの刺繍があった。
水色のフェルトで作ったお魚さん。
↓

裏側には秋の名前とハートマーク。
↓

2007年04月25日
一人残らず幸せに。
『COSMOS』という合唱曲を知っていますか?
中学校の合唱コンクールで歌われることが多いようです。
去年の秋に、初めてこの曲を聴きました。
どこかの中学校の授業でこの歌が歌われていて、
一度聴いただけで、とても好きになりました。
といっても、小学生にとってはちょっと難しい曲だったので、
子どもたちに教えたことはありませんでした。
わたしが勝手に、中休みや昼休みにピアノを弾いて楽しんでいました。
ピアノがだんだん上手に弾けるようになってきたので、
1週間前くらいから弾き語りをするようになると、
音楽室に子どもたちがぞくぞくと覗きにくるようになりました。
中には一緒に口ずさむ子どもも出てきて、
サビの部分だけだけれど、すっかり覚えてしまう子も出てきました。
「先生、これ好きなの?いつも歌ってるね。」
「そう。この曲が今一番好きなの。」
「わたしも好き!」
「そう?じゃ、一緒に歌う?」
「うん!教えて。全部教えて。」
ということになって、今日から歌いたい人は音楽室で一緒に練習することになりました。
いつもはサッカーをしにグラウンドに飛び出して行く男の子たちまできて
今日は昼休みに音楽室で『COSMOS』の大合唱になりました。
コスモスといえば、お花のコスモスを思い浮かべるかもしれませんが、
これは古いギリシャの言葉で『宇宙』を意味します。
子どもたちが「ここが好き。」と言ったところの歌詞が、
実はわたしも一番好きな部分だったのでびっくりしました。
~時の流れに 生まれたものなら 一人残らず 幸せになれるはず
みんな命を燃やすんだ 星のように 蛍のように
光の声が天(そら)高く聞こえる ぼくらはひとつ みんなみんな~
「明日も歌いにきていい?」
サッカー少年がボールを持ったまま言いました。
「うん。また明日の昼休みに歌おうか。」
「わかった!」
この世のに生まれたものは、一人残らず幸せになれるはずなのです。
中学校の合唱コンクールで歌われることが多いようです。
去年の秋に、初めてこの曲を聴きました。
どこかの中学校の授業でこの歌が歌われていて、
一度聴いただけで、とても好きになりました。
といっても、小学生にとってはちょっと難しい曲だったので、
子どもたちに教えたことはありませんでした。
わたしが勝手に、中休みや昼休みにピアノを弾いて楽しんでいました。
ピアノがだんだん上手に弾けるようになってきたので、
1週間前くらいから弾き語りをするようになると、
音楽室に子どもたちがぞくぞくと覗きにくるようになりました。
中には一緒に口ずさむ子どもも出てきて、
サビの部分だけだけれど、すっかり覚えてしまう子も出てきました。
「先生、これ好きなの?いつも歌ってるね。」
「そう。この曲が今一番好きなの。」
「わたしも好き!」
「そう?じゃ、一緒に歌う?」
「うん!教えて。全部教えて。」
ということになって、今日から歌いたい人は音楽室で一緒に練習することになりました。
いつもはサッカーをしにグラウンドに飛び出して行く男の子たちまできて
今日は昼休みに音楽室で『COSMOS』の大合唱になりました。
コスモスといえば、お花のコスモスを思い浮かべるかもしれませんが、
これは古いギリシャの言葉で『宇宙』を意味します。
子どもたちが「ここが好き。」と言ったところの歌詞が、
実はわたしも一番好きな部分だったのでびっくりしました。
~時の流れに 生まれたものなら 一人残らず 幸せになれるはず
みんな命を燃やすんだ 星のように 蛍のように
光の声が天(そら)高く聞こえる ぼくらはひとつ みんなみんな~
「明日も歌いにきていい?」
サッカー少年がボールを持ったまま言いました。
「うん。また明日の昼休みに歌おうか。」
「わかった!」
この世のに生まれたものは、一人残らず幸せになれるはずなのです。
2007年03月24日
Tくん
Tくんを見かけた。
歌のレッスンから帰ってくる途中,
赤信号で止まっていたら左の歩道をてくてくと歩いてきた。
Tくんは今小学校6年生。
わたしは過去に彼を担任したことがある。
ひさしぶりに見かけたのでとっても嬉しかった。
わたしは車に乗っていたので,
信号が青に変わらないことを祈った。
彼がわたしの車の近くにきたら
窓を開けて声をかけるつもりだった。
彼は背がのびて大人っぽくなっていたけれど
歩きながら回転する癖も
1人でにこにこと何かを口ずさんでいるところも
まったく変わっていなかった。
彼はADHDである。
注意欠陥・多動性障がい(AD/HD: Attention Deficit / Hyperactivity Disorder)
という発達障がいの一つで,集中力を持続することが難しい子どもだった。
注意欠陥・多動性障がいと言っても,
全てにおいて集中力がないわけではないので,
発達障がいだとわかる前は,
「落ち着きのない子だ!」と,たくさんの大人たちから叱られていた。
わたしも彼を叱ったことがある。
人によって症状は違うが,彼はよく手遊びをしていた。
他の子が静かにお勉強をしているときも
「ひゅーーーーがっしゃーーーん!!ばひゅーーーん。」
と言いながら手と手で争っている。
ノートと教科書を壁のように立てて,
右手と左手をぶつけあっているのだ。
「何をしているの?」
と,聞くとハッとわれに帰って
「戦争ごっこ。」と言うので驚いたりした。
国語は全くといっていいほどできなかったが
算数はかなりできた。
そしてできること,自分の好きなことにはとことん集中した。
じーーーっと座っていることが苦手な彼は
わたしに『お勉強中に戦争ごっこはやめなさい。』と叱られると
身体を右・左・右と大きく揺さぶって過ごした。
片目をつぶって天井を見ながら45分間揺さぶり続ける。
「こりゃ!!何を見てるの。」
というと
「あのさーあれ,ほら,この穴さー何個あるか数えてるんだけどさー。」
と天井にある無数の穴を指差した。
今日も彼は,まるで空に無数の穴があるかのように
時々空を見上げてはその場で回転してみたり
身体を左右に揺さぶったりしてはまた歩き出した。
彼はとてもとても優しい子だった。
ノートにポケモンのシールがたくさん付いているものを
お母さんに買ってもらったことが嬉しかったらしく,
わたしに「これ。シール。たくさんあるんだよ。」と見せに来た。
わたしは
「うわぁ!!すごいなー。いいノート買ってもらったねぇ。ほしいなー。」
と言った。
彼はちょっと悲しそうな顔をしたので
「どうしたの?」と聞くと「やぁ…うんと…。」と言いながらそっとそばから離れていった。
わけがわからなかったけれど,
彼はその当時,よく不可解な行動をとっていたのであまり気にしなかった。
次の日の放課後。
彼はわたしにノートから引きちぎったシールを差し出して
「あげることにした。決めたんだけど。」と言った。
わたしが「ほしいなー。」と言ったので
一日考えて考えた末に「あげることにした」のだと思う。
「あ!ごめんね。ほしいくらいかっこいいと思ったけれど,
でも,これはTくんのだから,いいの。
先生はとてもほしくなったら,自分で買うからね。」
というとにっこり笑って身体をゆらしながら帰って行った。
そんな彼と,とてもとても話したかったけれど,
彼が通り過ぎる前に信号が青になってしまった。
今日これから,電話してみようと思う。
どうしても話したい。
シールのこと覚えてるかな。
覚えていてほしいな。
歌のレッスンから帰ってくる途中,
赤信号で止まっていたら左の歩道をてくてくと歩いてきた。
Tくんは今小学校6年生。
わたしは過去に彼を担任したことがある。
ひさしぶりに見かけたのでとっても嬉しかった。
わたしは車に乗っていたので,
信号が青に変わらないことを祈った。
彼がわたしの車の近くにきたら
窓を開けて声をかけるつもりだった。
彼は背がのびて大人っぽくなっていたけれど
歩きながら回転する癖も
1人でにこにこと何かを口ずさんでいるところも
まったく変わっていなかった。
彼はADHDである。
注意欠陥・多動性障がい(AD/HD: Attention Deficit / Hyperactivity Disorder)
という発達障がいの一つで,集中力を持続することが難しい子どもだった。
注意欠陥・多動性障がいと言っても,
全てにおいて集中力がないわけではないので,
発達障がいだとわかる前は,
「落ち着きのない子だ!」と,たくさんの大人たちから叱られていた。
わたしも彼を叱ったことがある。
人によって症状は違うが,彼はよく手遊びをしていた。
他の子が静かにお勉強をしているときも
「ひゅーーーーがっしゃーーーん!!ばひゅーーーん。」
と言いながら手と手で争っている。
ノートと教科書を壁のように立てて,
右手と左手をぶつけあっているのだ。
「何をしているの?」
と,聞くとハッとわれに帰って
「戦争ごっこ。」と言うので驚いたりした。
国語は全くといっていいほどできなかったが
算数はかなりできた。
そしてできること,自分の好きなことにはとことん集中した。
じーーーっと座っていることが苦手な彼は
わたしに『お勉強中に戦争ごっこはやめなさい。』と叱られると
身体を右・左・右と大きく揺さぶって過ごした。
片目をつぶって天井を見ながら45分間揺さぶり続ける。
「こりゃ!!何を見てるの。」
というと
「あのさーあれ,ほら,この穴さー何個あるか数えてるんだけどさー。」
と天井にある無数の穴を指差した。
今日も彼は,まるで空に無数の穴があるかのように
時々空を見上げてはその場で回転してみたり
身体を左右に揺さぶったりしてはまた歩き出した。
彼はとてもとても優しい子だった。
ノートにポケモンのシールがたくさん付いているものを
お母さんに買ってもらったことが嬉しかったらしく,
わたしに「これ。シール。たくさんあるんだよ。」と見せに来た。
わたしは
「うわぁ!!すごいなー。いいノート買ってもらったねぇ。ほしいなー。」
と言った。
彼はちょっと悲しそうな顔をしたので
「どうしたの?」と聞くと「やぁ…うんと…。」と言いながらそっとそばから離れていった。
わけがわからなかったけれど,
彼はその当時,よく不可解な行動をとっていたのであまり気にしなかった。
次の日の放課後。
彼はわたしにノートから引きちぎったシールを差し出して
「あげることにした。決めたんだけど。」と言った。
わたしが「ほしいなー。」と言ったので
一日考えて考えた末に「あげることにした」のだと思う。
「あ!ごめんね。ほしいくらいかっこいいと思ったけれど,
でも,これはTくんのだから,いいの。
先生はとてもほしくなったら,自分で買うからね。」
というとにっこり笑って身体をゆらしながら帰って行った。
そんな彼と,とてもとても話したかったけれど,
彼が通り過ぎる前に信号が青になってしまった。
今日これから,電話してみようと思う。
どうしても話したい。
シールのこと覚えてるかな。
覚えていてほしいな。


